
AI エージェントをブラウザに持ち込むことが強力なのは、実際の作業がブラウザで行われているからです。同じ理由で、そこは慎重を要する領域でもあります。
ブラウザには、ログイン済みセッション、Cookie、拡張機能、ブックマーク、ワークスペース設定、SaaS へのアクセス、社内ツール、そして日々の Web 作業を支えるさまざまな状態が保持されています。AI エージェントがその環境で動作できるようになる以上、エージェントが何にアクセスできるのか、いつ動作するのか、そしてユーザーがどう制御し続けられるのかを、はっきり理解できるようにしておく必要があります。
だからこそ ego (lite) は、プライバシーと安全性の境界線を明確にしたうえで、ブラウザ移行に対応しています。
移行はデータ収集ではありません。ユーザーがすでに頼っているブラウザ環境をそのまま保つための仕組みであり、エージェントが毎回まっさらなブラウザから始めるのではなく、実際のコンテキストの中で作業できるようにするものです。
私たちのアプローチは3つの考え方に基づいています。既定でローカルファーストなブラウザ環境であること、エージェントが動作する際はタスクの範囲にコンテキストを限定すること、そして重要な場面ではユーザーが目に見える形で制御できることです。
ego (lite) がブラウザの移行をサポートする理由
実用性の高いブラウザタスクの多くは、まっさらな状態から始まりません。
これらはすべて、ユーザーがすでにログインし、SSO が完了し、適切なワークスペースが読み込まれ、拡張機能がインストールされ、作業に必要な設定と権限がブラウザに揃った後に起こることです。
エージェントがまっさらなブラウザから始まると、ユーザーは再ログイン、2FA の再認証、コンテキストの再構築、拡張機能の再インストール、あるいは情報をプロンプトへ手動でコピーするといった作業を、エージェントを前に進めるためだけに強いられがちです。これは摩擦を生みます。場合によっては、ブラウザ環境がすでに構造化された形で持っていた機密情報を、ユーザーがエージェントに貼り付ける羽目になり、かえってプライバシー上のリスクが増すこともあります。
ego (lite) は、こうした摩擦を減らすためにブラウザ移行を使います。ユーザーが普段使っているブラウザ環境を持ち込めるようにしながら、エージェントのアクセスをユーザーが実際に開始したタスクに限定することが目的です。
ブラウザの移行は資格情報の収集を意味しません
ブラウザの移行では、保存したパスワードを ego に送信する必要はありません。
既存の認証済みブラウザセッションを使うことと、認証情報を収集することの間には、重要な違いがあります。すでにあるサイトにログインしていれば、そのサイトがあなたを認識できるセッション状態がブラウザに残っています。そのサイトでの作業をエージェントに頼んだとき、エージェントはブラウザにすでにあるアクティブなセッションを通じて操作するだけです。
とはいえ、それはエージェントにパスワードが必要という意味ではありません。パスワードをモデルに渡すべきという意味でもありません。機密性の高い認証情報が、エージェントの一般的なコンテキストの一部になってよいという意味でもありません。
ログイン、支払い、アカウント変更、メッセージ送信、最終送信などの重要な場面では、ユーザーが操作権を持つべきです。ego (lite) では、エージェントの動作を確認し、ワークフローを一時停止し、必要なときに操作を引き継げます。
エージェントのアクセスはタスク範囲に限定されます
エージェントは、コンテキストがまったくなければ役に立ちません。
ページの要約を頼めば、ページの内容が必要になります。フォーム入力を頼めば、フォームの項目を理解する必要があります。ログイン済みの SaaS ツール内での作業を頼めば、そのタスクに必要なページの状態や認証済みセッションのコンテキストが要ることもあります。
境界線はタスクの範囲です。
エージェントが使うべきなのは、指示されたタスクの完了に必要なコンテキストだけであり、ブラウザに情報があるからといって広範にアクセスしてよいわけではありません。タスクによっては、そのコンテキストにページのテキスト、ページ構造、スクリーンショット、ユーザーの指示、明示的に渡したファイル、認可済みページの操作に必要なブラウザの状態などが含まれることがあります。
ego (lite) の基本モデルは、既定でローカルファーストのブラウザ環境、エージェントが動くときはタスクに限定したコンテキスト、重要な操作ではユーザーから見える状態を保つことです。
ローカルファーストとは、ブラウザ移行後も作業環境が既定で端末上に残ることです。エージェントに操作を依頼すると、ego (lite) はそのタスクに本当に必要な範囲だけをコンテキストとして渡します。
つまり、ブラウザのコンテキストはエージェントが役に立つために必要な連続性を与え、タスクスコープはエージェントが使ってよい範囲の境界を定めるということです。

Spacesによりエージェントの作業が可視化され、分離される
AI ブラウザにおける安全性は、データの扱い方だけの話ではありません。プロダクトの設計そのものの問題でもあります。
多くのブラウザ自動化の仕組みでは、エージェントはユーザーが使っているのと同じ画面上で動作します。タブを開き、ウィンドウを動かし、フォーカスを奪い、人の閲覧とエージェントの操作が入り混じります。そのため、エージェントが何をしているのかユーザーが把握しづらく、適切なタイミングで介入することも難しくなります。
ego (lite) は Spaces を使い、人のブラウジングとエージェントの作業を分離します。
エージェントが別の Space で作業している間も、あなたは自分の Space でそのまま閲覧を続けられます。エージェントが今使っているタブを奪ったり、ウィンドウを妨げたりすることはありません。それでいて作業の様子は見える状態のままです。エージェントの Space に入って、何が起きているかを確認したり、タスクを一時停止したり、引き継いだりできます。
この分離によって、ユーザー自身の閲覧画面と監督の余地を保ったまま、エージェントには実際に作業できる場所が与えられます。
プライバシー管理と機密データ
ego (lite) は、ユーザーのブラウザプロファイルを企業のデータセットとして扱わないように設計されています。
ブラウザ移行は継続性を保つためのものであり、ユーザーのブラウザ上の生活を吸い上げるためのものではありません。エージェントのワークフローは、依頼されたタスクに関連するコンテキストだけを使って作業を完了します。パスワード、カード番号などの機密情報は、エージェントに送信したり AI への入力として保存したりすべきではありません。
AI 機能でモデルの支援が必要な場合、応答の生成やアクションの実行のためにタスクのコンテキストが処理されることがあります。当社は、サードパーティのモデル提供元がユーザーデータを自社のモデル学習に利用しないよう、制限を設けています。
ユーザーは、プライバシー設定を管理し、必要に応じてアクセス権を取り消し、機密性の高い個人データをプロンプトや作業フォルダに直接入力しないようにできる必要があります。
制限事項
ブラウザエージェントはまだ発展途上の製品カテゴリです。時間を節約し、繰り返し作業を減らし、本来は人間向けに設計されたツールを横断して動作できますが、それでもミスをすることはあります。
複雑な UI、想定外のページ構成、隠れた指示、認証フロー、影響の大きい操作には失敗の余地があります。そのため ego (lite) は、完全に見えない自動化ではなく、可視性、分離、ユーザーによる制御を中心に設計されています。
AI の自動化によりブラウザの動作はよりスムーズになりますが、重要な瞬間から人間の判断が排除されるべきではありません。
ego (lite) がブラウザ移行をサポートするのは、実際の仕事が行われる環境で作業できるほどエージェントが役立つからです。課題は、そのコンテキストを無制御にせず、有用な形で提供することです。
これが私たちの目指す方向です。エージェントが実際のコンテキストの中で動作でき、ユーザーが監督・介入でき、ブラウザ移行がデータ収集にならずに継続性を保つ、そんなブラウザです。
Citro が ego の各サービスにおいて個人データをどう扱っているかの詳細は、以下をご覧ください: プライバシーポリシー.